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Research & InsightsPublished 2026-05-25Updated 2026-05-27

Web3資金調達週次レポート: 決済・取引・権限管理の実務へ向かった

資金の流れは、決済後の処理と取引の裏側へ寄っている

5月18日から5月24日のWeb3資金調達を見ると、資金と買収は表側のアプリより、決済後の処理、取引の流動性、権限管理、トークン運用に寄っています。利用者を増やす話より、金融機関や企業が実際に使うときに詰まりやすい場所です。

今週は、ステーブルコインの接続・清算・配布、AI時代の承認、機関投資家向け取引、買収による機能補完の4つに分かれました。個別案件名だけを追うと、資金がどの業務に入ったのかが見えにくくなります。

資金の流れ1: ステーブルコインは発行体より接続と清算へ

ステーブルコインの接続、清算、配布、信用経路を業務フローとして並べた図

ステーブルコイン周辺では、発行体そのものより、接続、清算、配布、信用に資金が分かれました。金融機関が使うAPI、支払い後の差額処理、新興市場のウォレット、中小企業向け信用が同じ週に並んでいます。

金融機関側の入口では、Checkerが$8Mを調達しました。ステーブルコイン、デジタル資産の流動性、クロスボーダー決済、トレジャリー、クレジット機能へ単一APIで接続するネットワークです。同社は過去12か月の処理額や、規制下金融機関の利用にも触れています。焦点は発行体に限らず、複数の流動性プロバイダー、法定通貨口座、地域ごとの決済手段を束ねる接続部分にあります。

支払い後の処理では、Cyclesが暗号資産市場とステーブルコイン決済向けのクリアリングネットワークとして$6.4Mを調達しました。クリアリングは、当事者間の支払い義務を相殺し、実際に移動する資金を差額に絞る仕組みです。ステーブルコイン決済が増えるほど、個別の支払いをすべて動かす設計は重くなります。差額だけを処理する層に資金が入ったことは、この実務寄りの課題を映しています。

利用者側では、Sorted WalletがTetherなどの主導で$4.4Mを調達しました。低容量端末でも使える新興市場向けウォレットを掲げています。Jiaは、フィリピンを中心とする中小企業向け金融OSとして$3Mを調達し、請求書ファイナンスとブロックチェーンベースの貸付プールをつなぐ構想です。TownSquareは二次情報中心のため扱いを絞りますが、Monad上のマネーマーケット、USD1流動性、RWAトークン化を結ぶ案件として、決済・信用・流動性と同じ導線に入ります。今週は、発行量そのものより、支払いが企業や利用者へ届くまでの経路に資金が入りました。

資金の流れ2: AIでは、承認と監視の設計が先に問われる

AI時代の口座管理、承認、監視、監査ログを接続する図

AI関連では、会話UIやエージェント本体より、資金移動を誰が許可し、どこにログを残すかが論点になりました。ここでは、口座、ポリシー管理、ハードウェア承認、監視基盤が必要になります。

中心になるのはCatena Labsです。AIエージェント向け金融インフラとして$30Mを調達しました。Circle共同創業者のSean Neville氏が立ち上げた会社で、AIエージェントが支払い、資金管理、取引承認を扱う場面に、口座、ポリシー管理、決済インフラを組み込む構想です。同社は米通貨監督庁にナショナル・トラスト・バンクのチャーター申請を進めていると報じられています。2026年5月21日時点では、承認済みではありません。

Foundation Devicesは、Bitcoin向けハードウェアウォレットからPassport Primeへ広げるために$6.4Mを調達しました。Passport Primeは、2要素認証コード、セキュリティキー、暗号化ファイル、追加シードも扱います。同社が説明するHuman Authority Hardwareは、AIエージェントや自動化された操作の中で、人間の明示的な承認をどこに残すかという話です。

監視側では、Blocknativeのトランザクション監視とガス推定のチームがDeloitteへ移りました。APIとGas Networkは2026年6月19日に終了予定です。プロダクトをそのまま継続する買収ではありません。企業向けAI、自動化、データ、ブロックチェーンの知見は大手プロフェッショナルサービス側へ移り、既存ユーザーは2026年6月19日までに代替先を決める必要があります。

AIと金融の接点では、エージェントが何をできるかだけを見ても足りません。口座をどこに置くか、承認をどう記録するか、異常なトランザクションをどう検知するかまで含めて、企業が使える形になります。

次のトレンド候補1: 機関投資家向け取引はRWAと流動性に寄る

RWA、流動性、注文経路、規制対応データを取引インフラとして接続する図

機関投資家向け取引では、RWA、デリバティブ、流動性、規制対応済みデータに資金が入りました。単独のDEXやデータ会社に閉じた話ではありません。取引前後の導線をそろえる資金の入り方です。

RWA側では、Temple Digital GroupがSBI Holdings傘下のSBI Group主導で戦略ラウンドを実施しました。TempleはCanton Network上で、中央指値注文板、RFQ/RFS、ブロック取引、スマートオーダールーティングを組み合わせる機関投資家向け取引インフラを作っています。SBI側は、RWAとデジタルアセット取引インフラへの関与を深める文脈でこの出資を説明しています。

Variationalは、Dragonfly主導で約$50Mを調達しました。個人向けのOmniと、機関投資家・上級トレーダー向けのProを展開し、RWA関連の永久先物や取引APIをロードマップに置いています。PopDEXもForesight Ventures主導の戦略的Seedで$30Mを調達しました。資金使途は、初期流動性、取引深度、開発、セキュリティ監査です。

データと実行環境も、取引前後の導線に入ります。KaikoによるCometh買収は、データ会社がウォレット、スマートコントラクト実行、MiCA/CASPライセンスを持つオンチェーン基盤へ広げる動きです。MoonPayによるDecent.xyz買収は、オンランプから取引、クロスチェーン経路、流動性接続までを同じ導線に寄せる動きとして読めます。資金と買収は、取引画面そのものより、注文、流動性、データ、規制対応をつなぐ工程に入っています。

次のトレンド候補2: 買収はトークン運用と企業導入を埋めに行く

トークン配布、オンチェーンデータ、クロスチェーン経路、企業導入チャネルを統合する図

買収では、既存事業者が足りない運用機能を外から補う動きが目立ちました。対象はトークン配布、オンチェーンデータ、クロスチェーン経路、企業導入チャネルに分かれます。

ZamaはTokenOpsを買収し、トークン配布、エアドロップ、ベスティング、コンプライアンス運用をFHEインフラに組み込む方針です。KaikoはComethを取り込み、MoonPayはDecent.xyzを取り込みました。BlocknativeのチームはDeloitteへ移っています。

トークン運用、オンチェーンデータ、クロスチェーン経路、企業導入チャネルは、金融機関や企業がWeb3を使うときに表側のアプリより先に詰まりやすい部分です。自前で時間をかけて作るより、買収やチーム移籍で取り込む方が早い領域でもあります。

主要投資家の名前も、この配置に重なります。a16z cryptoはCatena Labs、Coinbase VenturesはCyclesとJiaとVariational、DragonflyはVariational、FrameworkはChecker、TetherはSorted Wallet、SBI HoldingsはTempleに関わりました。投資家の意図までは踏み込みません。確認できる資金の行き先は、決済、デリバティブ、Canton/RWA、権限管理です。

今週の参照ページ

決済、クリアリング、新興市場金融:

AI時代の権限管理:

機関投資家向け取引とRWA:

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