Solana DeFi向けクレジットレイヤー @asgardfi が、Robot Venturesリードで$2.2Mシード調達
出資にはSolana Venturesなどが参加
プロジェクト概要
Asgard Financeは、Solana上でクレジットレイヤーを構築するDeFiプロトコルです。コアとなるのは「Credit Account」と呼ばれる口座型の仕組みで、ユーザーが担保を預けると、その最大10倍までの信用ラインを引き出し、ホワイトリスト化されたSolana上のプロトコルで利用できるように設計されています。
借りた資金はユーザーウォレットには出金できず、Credit Account内部にとどまる一方で、アカウント全体としては(担保+借入資金)が借入額を上回る形で常に過剰担保状態を維持するモデルを取っています。
Asgardによると、クローズドベータの段階で既に$35M超のポジションが作成されているそうです。
— 引用で投稿—-
【個人的見解】オンチェーンクレジット市場はトレンドになり得るのか
2025年Q3において、オフチェーンの債務残高は約 $346T、暗号資産担保ローン市場は $73.6B とされており、オンチェーン起点のクレジットはオフチェーン全体の 0.02% 程度しかありません。しかも、そのほとんどがAaveを代表とする過剰担保型です。
Asgard Financeのように、低担保クレジット(に見える)を事業機会と捉えるプロジェクトがもっといそうなものですが、実際には多くありません。
なぜか。
個人的な見解ではありますが、「借り手までオンチェーンに閉じ込めたクレジット構成」が、オフチェーン並みにスケールするのは構造的に難しいと考えています。
理由は大きく3つ、「法的強制力」「個人情報が不完全」「リスク評価」です。
法的強制力がほぼ存在しない
オフチェーンのクレジットは、最終的には法律によって担保されています。
個人なら給与の差押え、銀行口座の凍結、信用情報のブラックリスト入り。
企業なら担保権実行、債務再編、最悪は破産手続きと清算。
これらのペナルティがクレジット市場の土台になっていますが、パーミッションレスなオンチェーンではウォレットは捨て放題・作り放題であり、スマートコントラクトが直接アクセスできるのは「そのコントラクト内の残高」に限られます。
個人情報・IDが不完全(信用履歴が積み上がらない)
オフチェーンでは、住所や所得、過去のローン返済履歴や銀行取引が個人や法人と紐づいていますが、オンチェーンではアドレスは無限に作成可能です。新しいアドレスを作れば、過去の悪い履歴を切り捨てられるという構造的な違いがあります。
その結果、「誰に貸しているのか」「どの程度の期間にわたって信用履歴が積み上がっているのか」を前提にした与信モデルを組みにくくなっています。
リスク評価
オフチェーンでは、住宅ローンや企業の事業投資など、現実世界のキャッシュフローが返済原資になっているクレジットが大きな割合を占めます。
一方オンチェーンでは、担保がたとえステーブルコインであったとしても、借りた資金の運用先はオンチェーン上のリスク資産であるケースが多く、資金用途のボラティリティはオフチェーンより高くなりやすい構造です。
以上3つが、借り手をオンチェーン側に置いたままでは、オンチェーンクレジットがオフチェーン並みに普及しづらかった大きな要因だと考えています。
Asgardはユーザー視点では低担保型ですが、借りた資金をクレジットアカウントの外(ウォレット)に出せない仕組みにすることで、「借入資金を持ち逃げされる」リスクを物理的に潰しています。個人情報やIDの問題を解決しているわけではないものの、スマートコントラクト設計で欠点を補っている例と言えます。
もちろん単にレンディングするより、Asgardのようなクレジットレイヤーを通してレンディングしたほうが、同じオンチェーン内のレバレッジ需要に対しては資金効率が高まる余地はあります。
ただし、技術・法的な両面から見て、借り手まで完全にオンチェーンに閉じ込めた構成でオフチェーン並みのクレジット市場を作るのは依然として難しいように見えます。少なくとも当面は、借り手がオフチェーンである社債や国債などをトークン化し、レールだけオンチェーンに載せ替えるRWAフェーズが中心になる、というのが現時点での自分の見解です。