暗号資産保険プラットフォームの Redefind が、保険ブローカー大手 WTW(Willis Towers Watson)により買収。買収額は非公開です。WTW は、暗号資産やトークン化資産に関わる顧客向けの「次世代の保護ソリューション」へ事業を広げる戦略の一環だと説明しているとのことです。
プロジェクト概要
Redefind は、暗号資産・デジタル資産の保険にアクセスするためのウェブベースのプラットフォームです。個人や機関投資家が、自分の保有する暗号資産を対象にした保険をオンラインで購入できる仕組みを提供しています。ここでいう保険ブローカーとは、保険を引き受ける会社(引受会社)と契約者の間に立ち、適切な補償を仲介する事業者のことです。Redefind はこの保険を購入できる窓口と、契約に必要な技術基盤を担います。
Redefind の特徴は、資産を預からない「非カストディ型」である点です。一般的な保険では、保険会社が対象資産を管理したり、保有を書類で証明したりする必要があります。Redefind は、ブロックチェーン上の暗号学的な所有証明(cryptographic proof of ownership)を使い、契約者が資産を実際に保有していることを、資産を預けることなく確認します。これにより、ハードウェアウォレット、取引所の口座、マルチシグ(複数署名)など、保管方法を問わずに対象にできるとされています。同社はこの仕組みによって、これまで保険をかけにくかったデジタル資産を「保険可能」にしたと説明しているとのことです。
補償の中身は、資産そのものの時価を補填するものではなく、盗難・紛失が起きた後の「回収にかかる費用」を対象とする「コスト・オブ・リカバリー(回収費用)型」です。具体的には、フォレンジック調査(技術的な追跡調査)、資産トレース(オンチェーンでの資金追跡)、法的手続きによる回収にかかる費用がカバレッジ(補償範囲)に含まれます。引受の裏付けには、ロンドンの保険市場ロイズ(Lloyd’s of London)の A+ 格付けシンジケートが付いていると報じられています。
WTWのデジタル資産保険戦略
WTW(Willis Towers Watson)は、保険ブローカーとリスクアドバイザリーを手がける米国上場(NASDAQ)の大手です。今回の買収で WTW が得るのは、暗号資産という従来は引受が難しかった領域に、ロイズの引受能力と FCA(英国金融行為規制機構)の規制枠組みを組み合わせて踏み込むための既製のプラットフォームと技術です。Redefind の所有証明の仕組みは、契約者が主張する保有を保険会社が確認するうえでの障壁を下げるもので、伝統的なブローカーが暗号資産保険へ参入する足がかりになります。
サービスはまず英国で立ち上げ、その後に対象市場や商品ラインを段階的に広げていく計画とのことです。Redefind の創業者である Richard Daws 氏と Connor Edward 氏は買収完了に伴い Willis に加わり、Richard Daws 氏は WTW のアフィニティ(Affinity)部門の支援を受けながら事業の運営を続けるとされています。WTW の Alastair Swift 氏は、デジタル資産が主流化するなかで「信頼でき、規制に裏付けられた保護ソリューションへの需要が高まっている」と述べているとのことです。買収額は公表されていません。
伝統的な保険ブローカーが暗号資産保険のプラットフォームを取り込む動きは、補償の設計を「資産の時価補填」から「回収費用の補填」へ切り替えることで、ボラティリティの大きいデジタル資産でも引受可能性を確保しようとする発想を示しています。資産を預からずに所有を確認する技術と、ロイズの引受能力・既存の規制関係を組み合わせる点が、今回の取引の中心にあります。
参考リンク
https://www.globenewswire.com/news-release/2026/06/02/3304943/0/en/WTW-acquires-Redefind-to-strengthen-digital-asset-protection-offering.html https://cryptobriefing.com/wtw-acquires-redefind-crypto-insurance/ https://crypto-fundraising.info/projects/redefind/ https://t.me/crypto_fundraising/5205