企業向けステーブルコイン・トレジャリー(資金管理)・決済基盤の Velocity が、Dragonfly Capital と FirstMark 共同主導の Series A で $38M を調達。Activant Capital、QED Investors、Capital One Ventures、Coinbase Ventures、Ripple、Wintermute Ventures も参加しています。
プロジェクト概要
Velocity は、企業や決済事業者、金融機関がステーブルコインを使って資金を保有・送金・決済できるようにする、ロンドン拠点のプラットフォームです。2025年に、元Worldpayのエリック・クイーセム氏と、元Volt/IFXのトム・グリーンウッド氏が共同で設立しました。銀行の送金レールやコンプライアンス(法令順守)システムと接続し、ステーブルコインの残高を法定通貨の口座と同じ感覚で扱えるようにする設計になっています。
同社が解決しようとしているのは、企業の資金移動につきまとう非効率です。ひとつはプリファンディング(送金前に、着金先の口座へあらかじめ資金を置いておく必要があること)で、クロスボーダー送金では着金国ごとに資金を寝かせておく負担が生じます。もうひとつはFXフリクション(通貨を両替する際にかかる手数料や時間のロス)、そしてクリアリング(清算:複数の取引の債権債務を差し引きし、必要な資金移動だけに絞る仕組み)の分断です。Velocityは銀行・カードネットワーク・決済処理業者・デジタル資産レールを横断してこのクリアリングを一元的に調整し、送金のたびに資金を事前に用意する必要をなくすことを狙っています。
プラットフォーム上では、企業は法定通貨とステーブルコインの残高を統合したダッシュボードで資金を管理し、余剰資金には利回りを得ることもできます。Fortuneの取材でクイーセム氏は、既存の銀行インフラによるクロスボーダー決済の使い勝手を「ひどい」と表現し、暗号資産に詳しい企業ではなく銀行や外国為替(FX)会社を主な競合と位置付けていると説明しています。秘密鍵を企業自身に管理させるのではなく、規制対象のカストディ(資産保管)事業者と連携する設計を採っており、暗号資産に不慣れな企業でも導入しやすくすることを狙っているとのことです。
調達資金の使途とアフリカ・中南米展開
Velocity は 2025年5月に Activant Capital 主導の Pre-seed ラウンドで $10M を調達しており、今回の Series A で累計調達額は $50M 弱に達しました。現在は米国、欧州の一部、オーストラリアで事業を展開しており、今回調達した $38M はアフリカ・中南米への展開に必要なライセンス取得、安全なカストディ基盤への投資、利回りを生むステーブルコイン商品の開発に充てる計画とのことです。
Dragonfly の Rob Hadick 氏は、Velocity の強みについて「伝統的な決済・銀行インフラとステーブルコインネットワークを接続する能力にある」とコメントしています。FirstMark の Adam Nelson 氏も「ステーブルコインは、インターネットが情報の流れを変えたのと同じくらい、資金の流れを根本的に変える可能性がある」と述べており、企業の実務にステーブルコインが定着していく段階への投資だと位置づけているとのことです。
参考リンク
https://www.theblock.co/post/408242/dragonfly-firstmark-series-a-stablecoin-velocity-coinbase-ripple-capital-one-ventures https://fortune.com/2026/07/14/exclusive-payments-startup-velocity-38-million-businesses-stablecoin-growth/ https://cryptobriefing.com/velocity-38m-series-a-stablecoin-startup/ https://www.velocity.xyz/blog-post/dragonfly-invests-in-velocity https://x.com/Queathem/status/2077017868009410697 https://x.com/velocityxyz_/status/2077016516416123139 https://crypto-fundraising.info/projects/velocity/ https://t.me/crypto_fundraising/5271