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調達ニュース公開 2026.07.17更新 2026.07.17

クリプト入金インフラの Glide が MoonPay に買収

クリプト入金(デポジット)インフラの Glide が、決済企業 MoonPay により買収。全株式(all-equity、現金でなく MoonPay の株式を対価とする買収形態)による取引で、買収額は非公開です。2026年7月16日に発表されたもので、MoonPay にとって2026年6件目の買収とのことです。

プロジェクト概要

Glide は、アプリやプラットフォームが暗号資産の入金を受け付ける際の窓口を1つに集約するインフラです。ユーザーがどのトークンを持っているか、どのウォレットや取引所から送るか、どのカードで支払うかにかかわらず、開発者は単一の統合(インテグレーション)だけで入金を受け付けられるようにする、というのが基本コンセプトです。

暗号資産の入金は本来、送金元のチェーンとアプリ側が求めるチェーンが一致しないと、ユーザー自身でブリッジ(異なるブロックチェーン間で資産を移動させる仕組み)やスワップ(トークンを別の種類のトークンに交換すること)を行い、ガス代(ブロックチェーンの取引手数料)まで用意する必要があります。この手間が、意図しないチェーンへの誤送金による資産のロストなど、暗号資産初心者がつまずく典型的な原因になってきました。Glide はこの一連の作業を裏側で肩代わりし、内部のルーティング層が速度とコストに応じてリレー・ブリッジ・スワップの経路を自動選択する設計です。資産の受け渡し自体は、ユーザーが管理権を保つ形のエスクロー(第三者が一時的に資産を預かる仕組み)スマートコントラクトを通じて行われ、高額な送金にも対応するとのことです。

開発者はこの仕組みを、埋め込み型の入金ウィジェットとして使うことも、ヘッドレスSDK(画面を持たず裏側の処理だけを提供する形の開発キット)として自社UIに組み込むこともできます。対応範囲は100種類以上のトークン、30以上のブロックチェーンネットワークに及び、年換算で1億ドルを超える取引量、50社以上の法人顧客を抱えていたと報じられています。

Glide は2023年に、Robinhood のクリプトウォレットチームを率いていた Tushar Soni(CEO)と Qinyu Tong が共同創業した会社です。Y Combinator(S23バッチ)の出資先で、社員はわずか4名でしたが、共同創業者を含む全員が今回の買収に伴い MoonPay に加わります。

MoonPay Depositsとの統合

Glide の技術は、MoonPay が既に展開している入金インフラ「MoonPay Deposits」に統合されます。MoonPay Deposits は、Wallet in Telegram、Moonshot、Paysafe といったアプリに入金機能を提供してきた製品で、Glide の顧客50社以上もここに合流する形になります。

The Block によると、Glide の Soni CEO は「MoonPay に加わることで、自分たちの入金プロダクトを MoonPay のオンランプ(法定通貨から暗号資産への交換窓口)、バーチャルアカウント、スワップと組み合わせられる」とコメントしています。既存ユーザー向けのサービスは中断なく継続されるとのことです。

MoonPay の一連の買収戦略

今回の Glide 買収は、MoonPay にとって2026年6件目の買収です。同社はこれまでに、鍵管理(キーマネジメント)の Sodot、クロスチェーンルーティングの Decent、Solana 上の取引実行基盤 DFlow、AI会計の Entendre、AI取引エージェントの Dawn Labs を買収してきました。Cointelegraph は、ステーブルコインやトークン化資産、クロスチェーンアプリが広がるなかで、決済事業者が単体のオンランプや決済ゲートウェイではなく、入口から出口までを一気通貫で扱うインフラを競って揃えつつある業界の流れの一環として、この買収を位置づけています。

MoonPay の CEO である Ivan Soto-Wright は、Cointelegraph に対し「今年行ってきたすべての買収は、企業とそのユーザーが暗号資産を扱ううえで必要とするインフラの層を一つずつ積み重ねてきたものだ。資金を動かし、守り、取引し、記帳する、という具合に」と説明したと報じられています。

一方、X上のコミュニティの一部からは、半年余りで6件という買収ペースの速さそのものへの懸念も出ています。統合すべきチームや技術が短期間に積み上がることで実行リスクや統合の負債が生じかねないという指摘や、鍵管理・取引執行・クロスチェーンルーティング・AI・入金・法定通貨連携までを単一の事業者が握ることが、分散型を志向する暗号資産業界の理念と摩擦を起こしかねないという中央集権化への懸念も見られました。The Block・Cointelegraph・CryptoBriefing など報道側では、こうした懐疑的な論調は確認されていません。

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