韓国最古の暗号資産取引所 Korbit(コルビット)が、韓国の金融大手 Mirae Asset(未来アセット)傘下の Mirae Asset Consulting により買収。取得額は $92M(1,335億ウォン)で取得比率は92.06%、2026年7月23日に支配株主としての取得が完了しました。その後の追加取得で保有比率は97.15%まで引き上げられています。
プロジェクト概要
Korbit は2013年7月に設立された、韓国初の暗号資産取引所です。世界に先駆けて BTC/KRW(ビットコインと韓国ウォン)のペア取引を開始したことで知られ、以来 KRW 建ての現物取引を中心にサービスを提供してきました。買収前の株主には、ゲーム大手 Nexon の持株会社 NXC や SK グループ系の子会社が名を連ねており、伝統的な企業ガバナンスと暗号資産ネイティブなサービスを組み合わせる運営体制を築いてきた経緯があります。
もっとも、Korbit の現在の市場規模は大きくありません。韓国国内の暗号資産取引所5社のうち出来高で4位につけていますが、市場シェアはおよそ0.5%にとどまり、首位の Upbit(69%)や2位の Bithumb(28%)とは大きな差があります。24時間の現物取引出来高もおよそ$4.3M程度で、Upbit の$224.2Mと比べると小規模です。この規模の小ささが、後述する規制当局の審査で競争制限の懸念が乏しいと判断された理由になっています。
買収の経緯とMirae Assetによる持株比率引き上げ
Mirae Asset Consulting(Mirae Asset Financial Group の子会社)による Korbit 株式92.06%の取得契約は、2026年2月13日に発表されました。取得額は1,335億ウォン(約$92M)です。
韓国の公正取引委員会(KFTC)による企業結合審査を経て、2026年7月上旬に承認。7月23日付で Mirae Asset が支配株主としての地位を取得しました。KFTC はこれを、金融グループ系列会社が国内の暗号資産取引所を買収した初めての事例と位置づけています。
さらに Mirae Asset は、株式の売却意向を示す一部の法人株主から株式を買い増す形で持株比率の引き上げを進めました。追加で1,589,859株を78.9億ウォン(約$5.3M)で取得し、保有比率は97.15%に達しています。この追加取得は7月22日から24日にかけて完了する見通しが示されていました。取得額の合計は報道によって$102M前後と見積もられているものもあり、時点や集計範囲によって幅があります。
Digital Xへの改称とMirae Assetが描く方向性
Korbit は自社の公式Xアカウントで2026年7月23日、Mirae Asset グループと「一つの家族になった」と発表しました。社名変更の登記手続きは進行中で、完了するまでは Korbit の名称のまま運営を続けるとしています。Mirae Asset は買収後の新社名を「Digital X」とする方針を示しており、伝統資産とデジタル資産が交わる未知の可能性を意味する名称だと説明しています。
Digital X が目指すのは、単なる現物取引所ではなく、RWA(リアルワールドアセット、株式や債券など現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化したもの)、STO(セキュリティ・トークン、証券をトークンの形で発行する仕組み)、ステーブルコイン、そして伝統的な金融商品とデジタル資産を一つのプラットフォーム上でつなぐ「インテリジェント投資プラットフォーム」です。
Mirae Asset は Upbit や Bithumb と取引出来高で競う意図はないとしており、investor education(投資家教育)やリサーチ、機関投資家向けの水準のコンプライアンス体制を軸に、業界のインフラ層としての立ち位置を狙う考えを示しています。これは資産運用や証券会社をトークン化資産と接続する「Mirae Asset 3.0」戦略の一環であり、Mirae Asset が Ondo Finance と提携して自社の Global X ETF シリーズをオンチェーン化する取り組みを進めてきた流れとも重なります。
規制環境の変化とユーザーへの影響
今回の買収が国内初の事例となった背景には、韓国で長らく金融資本による産業資本の支配を制限してきた「金産分離」規制(금산분리、銀行・証券などの金融グループが事業会社の株式を大量に保有することを原則制限する規制)があります。金融グループの系列会社が暗号資産取引所の支配株主になった今回のケースは、この規制環境が部分的に緩和され始めたことを示す事例だと報じられています。
ただし現地の法律事務所ロベックスの弁護士は、金産分離が完全に崩れたわけではなく「緩和の糸口が開かれた程度」と評しており、制度上の位置づけが定まったわけではない点には留意が必要です。実際、金融当局はデジタル資産基本法において、取引所の大株主の持株比率を原則20%、例外的に最大34%に制限する案を検討しているとされ、この規制が導入されればMirae Asset の97.15%という保有比率も将来的にガバナンスの見直しを迫られかねません。
一方、既存ユーザーへの直接的な影響については、運営主体・預かり資産・個人情報の取り扱いはいずれも変更しないとされています。韓国の利用者保護関連法制のもとでユーザー資産の分別管理も継続する方針です。買収そのものやDigital Xへの改称をめぐって、詐欺懸念やユーザー資金への不安を示す具体的な批判は、確認できた報道やSNS上の反応の範囲では見当たりませんでした。
参考リンク
https://www.theblock.co/post/389835/mirae-asset-acquires-korbit https://www.theblock.co/post/409485/mirae-asset-completes-acquisition-korbit https://en.sedaily.com/finance/2026/07/21/mirae-asset-consulting-raises-korbit-stake-to-9715-percent https://www.coindesk.com/markets/2026/07/24/mirae-asset-has-a-name-for-what-it-s-building-with-korbit-an-intelligent-platform https://www.etoday.co.kr/news/view/2602067 https://x.com/Korbit_exchange/status/2080080455584354354 https://crypto-fundraising.info/projects/korbit/ https://t.me/crypto_fundraising/5294