Solanaエコシステム向けのコピートレード(copy trading、優れた実績を持つウォレットの取引を自動的に模倣する手法)プラットフォームの OdinBot が、ウォレット追跡・オンチェーン分析プラットフォームの Cielo(Cielo Finance)により買収。買収額は非公開です。発表は2026年7月24日付で、両社の公式X投稿を通じて明らかにされました。
プロジェクト概要
OdinBot は、Telegramボットに依存せず Web アプリ主体でコピートレードを提供してきた Solana 向けプラットフォームです。優れた実績を持つウォレットの取引を低レイテンシ(低遅延)な執行で自動的にミラーリング(模倣)する機能を中核に、現物とパーペチュアル(無期限)先物の両方でコピートレードに対応し、主要な Solana の DEX(分散型取引所)や流動性プロトコルを横断してきました。あわせて、取引の順序を操作されて不利な価格で約定させられる MEV(Maximal Extractable Value、ブロック内の取引順序操作によって得られる追加的な利益)から利用者を守る MEV 保護機能、ウォレット分析・スクリーニングツール、自動的な利確(テイクプロフィット)・損切り(ストップロス)機能なども備え、初心者から経験豊富なトレーダーまでを対象としてきました。
Decrypt の報道によれば、OdinBot の速度の核心は「予測的トレーディング(predictive trading)」と呼ぶ手法にあり、ブロックチェーン上での確定を待たずに事前確認シグナルを検知して取引を開始することで、取引全体の約15%を模倣元ウォレットと同一ブロック内で約定させているとされています。同社は Telegram ボット比で99.9%の稼働率を掲げてきました。買収発表で Cielo と OdinBot 双方が明らかにした自己申告の実績によると、OdinBot の累計取引高は約$250M、累計収益は約$1.6M とされています。
Copy Trading Agentsへの統合
買収主体の Cielo は2022年設立とされる、Solana を含む30以上のチェーンにまたがるウォレット追跡・オンチェーン発見プラットフォームです。独立系レビューによれば400万件超のウォレット追跡実績と50万人超のアクティブユーザーを抱えているとされ、これまでは「儲かっているウォレットを見つける」発見・分析機能を主軸としてきました。Cielo の発表では、利用者はこれまで発見・分析用のツールと、実際にコピートレードを執行するツールを別々に使い分ける必要があったと説明されており、今回の買収はこの2つの機能を単一の Web アプリに統合する狙いとされています。Solana 上のコピートレード・スナイパーボット市場は Axiom や Photon、BullX、Trojan など複数のプレイヤーが速度と手数料で競う構造にあり、発見から執行までを垂直統合することで差別化を図る動きと位置づけられます。
買収後、Cielo は新機能「Copy Trading Agents」の提供を始めています。1つのエージェントにつき最大50件のウォレットを同一ブロックでミラーリングでき、ストップロス・テイクプロフィット・模倣元ウォレットの売り追随のいずれかを終了条件として設定できます。設定した条件で過去7日間の値動きを再現するバックテスト用シミュレーターや、複数の追跡ウォレットが同一トークンを短時間のうちに買った場合に自動売買する「Multi-Buy Agent」、ウォレットのプロフィール画面から直接コピートレードを開始できるボタンなども用意されています。OdinBot 公式は、Cielo のターミナル手数料が競合の Axiom 比で40%安いと訴求しており、既存の OdinBot ユーザー向けには、2026年8月1日までに Cielo で初回取引を行いフォームで OdinBot ウォレット・Cielo ウォレット・Telegram ID を申告すると Cielo Pro が3か月無料になる移行インセンティブも案内されています。
本件については、The Block や CoinDesk、DL News、Decrypt、Cointelegraph といった主要な暗号資産メディアによる記事化は確認できておらず(Decryptは買収以前のOdinBot単独取材記事のみで、本件の買収そのものは扱っていません)、告知は両社の公式X投稿と調達情報の集約サイトを通じたものにとどまっています。発表直後のコミュニティの反応はおおむね好意的で、移行したユーザーからは手数料の低さや速度への好評が目立つ一方、買収後もユーザーの定着が続くかどうかを条件付きで見る声も一部にありました。買収額の具体的な数字や、OdinBot が従来提供してきた形態が今後も並行して残るかどうかについては、公開されている情報からは確認できていません。