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調達ニュース公開 2026.08.28更新 2026.08.28

ゼロ知識暗号インフラの Primus Labs(旧 PADO)が YZi Labs から出資を調達(金額非公開)

Web2とWeb3間のデータ連携を担うゼロ知識暗号インフラの Primus Labs(旧 PADO)が、YZi Labs(旧 Binance Labs)から出資を調達。金額は非公開です。発表は2026年8月25日で、YZi Labsが運営するブータン拠点のアクセラレータープログラム「EASY Residency」第4期のコホートに、この1か月参加していたことが背景にあるとみられます。

プロジェクト概要

Primus Labs は、もともと PADO(PADO Labs)という名前で立ち上げられ、その後現在の社名に切り替わったプロジェクトです。手がけているのは、ウェブサービスや取引所口座、証券口座といった Web2 側のデータを、そのままでは検証できないブロックチェーンや AI アプリケーション側に安全に持ち込むための暗号インフラです。

取引所の残高や信用スコア、他サービス上での取引実績など、通常は本人や運営企業しか把握できない情報があります。Primus は、その中身を開示せずに「その事実が真実であること」だけを証明できるようにする、という課題に取り組んでいます。

中核となる技術のひとつが zkTLS(ゼロ知識TLS)です。TLS はウェブサイトやAPIとの通信を暗号化する標準的な仕組みで、オンラインバンキングや取引所へのログイン時にも使われています。

zkTLS は、この通信のやり取りをゼロ知識証明(ある事実が真実であることを、その中身を明かさずに証明する暗号技術)で包み直します。これにより、「このアカウントの残高は一定額を超えている」「この取引を実際に行った」といった特定の事実だけを、ログイン情報や口座明細そのものを見せずに他者へ証明することが可能です。

この仕組みを使うと、取引所の残高証明(プルーフ・オブ・リザーブ)や、他プラットフォームでの実績を根拠にしたオンチェーン与信など、Web2 側の情報をプライバシーを保ったままブロックチェーン上で扱えるようになります。

もうひとつの柱が zkFHE(ゼロ知識完全準同型暗号)です。FHE(完全準同型暗号)は、データを暗号化したまま計算を行い、復号すると平文で計算したのと同じ結果が得られるという技術です。

Primus はこれにゼロ知識証明を組み合わせ、暗号化された金額や取引条件を他者に見せることなく、その計算が正しく実行されたことまで検証可能にしています。この仕組みは、証明を発行するアテスター(検証ノード)のネットワーク「AlphaNet」上で稼働する仕組みです。

TEE(ハードウェアで隔離された安全な実行環境)内での署名とゼロ知識証明による検証を組み合わせることで、単独のノードが不正なデータを証明として通せないようにしていると、プロジェクトは説明しています。

PADOからの改名とEASY Residency参加

Primus Labs の前身である PADO は、リステーキング(預けたETHの経済的信頼性を他のネットワークのセキュリティにも再利用する仕組み)基盤の EigenLayer 上で FHE 計算を担うノードのネットワーク(PADO AVS)を運営するなど、当初から暗号計算インフラとしての性格を持っていました。

その後、事業の軸を「機関投資家向けオンチェーンファイナンスのための機密インフラ」へと明確化し、現在の Primus Labs という名称に切り替えています。

アグリゲーターサイトの記録によると、旧 PADO 名義では2025年2月に Dispersion Capital、Symbolic Capital、VanEck らが主導する $6.5M の Seed ラウンドを実施しており、今回の YZi Labs からの出資はこれとは別の資金供給にあたります。

今回の背景としては、YZi Labs が運営するアクセラレータープログラム「EASY Residency」の存在が挙げられます。YZi Labs公式サイトやCryptopolitan、Cryptonews.netの報道によると、同プログラムの第4期はオンライン5週間・ブータン現地滞在5週間の計10週間で構成され、参加チームには最大$500Kの出資枠が用意されているとのことです。

現地滞在はブータンの新興特別行政区「ゲレフ・マインドフルネス・シティ」で行われ、2026年8月にデモデイを迎えました。Primus Labs公式Xも、ブータンでの1か月間の滞在を経て「YZi Labsファミリーの一員になれたことを光栄に思う」と投稿しており、今回の出資はこのコホート参加に伴うものとみられます。

ただし、YZi Labs側が本件を EASY Residency の一環だと明言したソースは確認できておらず、複数の情報を組み合わせた見立てである点には留意が必要です。

なお、zkTLSを用いるプロジェクトに共通する技術的な論点として、証明を発行するアテスターとクライアントが結託すれば偽の証明を作れてしまうのではないか、という懸念がコミュニティの技術的な議論として存在します。

Primusは TEE内での署名とゼロ知識証明による二重チェックでこれに対応していると説明していますが、アテスター網を実運用でどこまで非中央集権化し、耐障害性を持たせられるかは、プロジェクト自身も今後の課題として位置づけています。

参考リンク

https://x.com/primus_labs/status/2092224058712842367 https://www.yzilabs.com/easy-residency https://www.cryptopolitan.com/yzi-labs-season-4-cohort-to-bhutan/ https://cryptonews.net/news/other/32907733/ https://www.coincarp.com/fundraising/primus-labs-seed/ https://crypto-fundraising.info/projects/primus-labs-ex-pado/ https://t.me/crypto_fundraising/5341

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