ステーブルコイン決済インフラの Diameter Pay が、CMT Digital、Lightspeed Faction共同主導の Series A で $10M を調達。SixThirty Ventures、Stellar Development Foundation、Tech Council Ventures、Onigiri Capital、BitRock Capital も参加しました。
発表は2026年9月3日で、PYMNTS の報道によるとラウンド自体は2026年4月に開始し7月にクローズした単一トランシェとのことです。2023年設立の Diameter Pay にとっては創業後初めての外部調達で、これまでは自己資金(ブートストラップ)で運営してきました。
プロジェクト概要
Diameter Pay は、銀行・フィンテック企業・暗号資産取引所向けに、単一の API を通じて米ドル建てのバーチャル口座、国内外の決済レール、ステーブルコインの on/off-ramp(法定通貨とステーブルコインを相互に交換する接続口)、コンプライアンス管理機能を提供する決済インフラ企業です。
海外のフィンテック企業は、Diameter Pay の API を組み込むことで、自社では米ドル口座を持たない自国の顧客に対しても米ドル建て口座を提供できるようになります。裏側の入出金処理・不正監視・制裁対象者スクリーニングなどのコンプライアンス業務は Diameter Pay 側が担う仕組みです。
同社は複数の米国銀行と提携する「スポンサー銀行」モデルを採用しています。The Block の報道によると、提携先には Portage Bank・SSB Bank に加え、社名非公開の上場企業系銀行が含まれ、さらに提携銀行の追加を進めているとのことです。
創業者兼 CEO の David Lighton 氏は同メディアに対し、「スポンサー銀行が Diameter Pay と提携するのは、自行が持つ米ドル清算インフラへのアクセスを使わせる見返りに、手数料収入と低コストの預金を得られるからだ」と説明しています。
同社はニュージャージー州で MSB(money services business、送金業者)として登録されており、2026年時点で決済処理量は年初来 $10B を超え、利用者数は10,000人超です。スイスやシンガポールなど複数の金融拠点の銀行・フィンテック企業も顧客に含まれるとのことです。チームは約20人規模で、CTO・最高商業責任者(CCO)の採用も進めています。
コルレス銀行の空白とスポンサー銀行モデル
The Block と fintech.global の報道は、今回の資金調達の背景として、制裁強化や資金洗浄対策(AML)規制の厳格化を理由に、コルレス銀行(国境を越えた送金のために銀行同士が結ぶ中継口座の仕組み)が一部地域の市場から撤退している動きを指摘しています。この撤退によって生じたドルアクセスの空白を、規制対応済みの決済インフラで埋めようとしているのが Diameter Pay の位置づけです。
創業者の Lighton 氏は公式発表で、「世界はよりグローバル化する一方、金融システムはより断片化している。銀行によりリスクを負わせるのではなく、そのリスクをより精緻に理解・管理するための技術・データ・コンプライアンス基盤を私たちは提供する」と述べています。
調達資金の使途について、公式発表は銀行・決済機能の拡充、ステーブルコインと外国為替(FX)インフラの強化、国境を越えたドル送金に必要な技術・コンプライアンス機能への投資を挙げています。
共同主導した CMT Digital の Charlie Sandor 氏は、「Diameter は伝統的な決済レール、ステーブルコインインフラ、コンプライアンスを組み合わせ、規制対象の金融機関向けに接続層を提供している」とコメント。同じく共同主導の Lightspeed Faction の Tim Khoury 氏は「Diameter はコンプライアンスと銀行インフラへの徹底したこだわりから出発し、顧客からの信頼を積み上げてきた」と述べています。
参加した SixThirty Ventures の Evan Thorpe 氏も「現代の資金移動において製品と呼べるのは、輸送そのものではなく信頼だ。Diameter はその信頼を提供している」と評価しています。
なお、同時期には競合とされるステーブルコイン決済インフラ企業についても大型の統合が相次いでおり、Mastercard による BVNK 買収(最大 $1.8B)や Stripe による Bridge 買収($1.1B)が報じられています。
X 上の一部の観測筋は、ブートストラップのみで年間 $10B超の決済処理量を築いてきた実績と比べると、今回の $10M という調達額はこの業界の取引規模の中では控えめだと指摘していますが、目立った批判的な反応は確認できていません。
参考リンク
https://www.prnewswire.com/news-releases/diameter-pay-raises-10-million-to-expand-global-access-to-the-us-dollar-302869225.html https://www.theblock.co/news/deals/2026-09-03-diameter-pay-funding-stablecoin-payments-infrastructure-413454 https://www.pymnts.com/news/investment-tracker/2026/diameter-pay-raises-10-million-to-expand-stablecoin-payments-infrastructure/ https://fintech.global/2026/09/04/diameter-pay-lands-10m-to-expand-us-dollar-access/ https://crypto-fundraising.info/projects/diameter-pay/ https://t.me/crypto_fundraising/5362