フィジカルAI(現実世界で動くロボットや身体性を持つAIエージェント)向けの実世界データ基盤の 4Dlabs が、YZi Labs(旧 Binance Labs)から出資を調達。金額は非公開です。発表は2026年9月11日で、YZi Labsが運営するインキュベーションプログラム「EASY Residency」第2期のコホートに選出されていたことが背景にあります。
プロジェクト概要
4Dlabs が取り組むのは、ロボットや身体性AIエージェントを訓練するための「実世界データ」の不足という課題です。文章や画像で学習してきた従来のAIモデルと違い、フィジカルAIは物を掴む・運ぶ・組み立てるといった現実の動作データを大量に必要としますが、そうしたデータはインターネット上にほとんど存在しません。
4Dlabsはデータを、専用ハードウェアと一般ユーザーのスマートフォンという2つの経路で集めます。主力の「Ego Suite」は頭部装着型のキャプチャ機器です。映像・慣性センサー・触覚グローブの情報を同時に記録し、契約した作業者が倉庫や店舗など実際の現場で作業しながらデータを取得します。
もう一つの入り口が、スマートフォンによる3Dスキャンです。一般の参加者が自宅などの空間をスキャンして提出すると、トークン報酬を得られる仕組みで、1件あたり$10以上になることもあると4Dlabsは説明しています。
集まったデータには自動品質チェックと人の確認が入り、キャプチャした時点でデータの権利をブロックチェーン上に登録します。誰がいつ・どの品質基準で集めたデータかを後から検証できるようにする狙いで、データそのものは暗号化して保管されるとのことです。
処理済みのデータは、製造・小売・薬局・家事・物流・飲食の6分野のデータセットとして、B2Bマーケットプレイスで企業に販売するか、特定用途向けのカスタム収集を受注する仕組みです。買い手にはロボットや身体性AIモデルを開発する企業を想定しています。
EASY Residency選出から出資公表までの9か月
今回の出資の背景には、YZi Labsが運営するインキュベーションプログラム「EASY Residency」があります。YZi Labs公式ブログ(2025年12月9日付)によると、4Dlabsは同プログラム第2期のコホートに選ばれています。
創業チームとして紹介されているのは、CEOのBruce Bai氏(浙江大学PhD、連続起業家)と共同創業者のIan Y. Xu氏(元Meta Reality Labs、SenseTime出身)を含む4人です。X上での出資公表(2026年9月11日)は、コホート選出から9か月ほど遅れて公表されたことになります。
同じYZi LabsのEASY Residency(第4期)に参加したゼロ知識暗号インフラのPrimus Labs(旧PADO)でも、プログラム参加後に出資が公表される流れが見られました。YZi Labsは投資判断そのものより先に、プログラムでの選抜・育成を挟んでから対外公表する運用を取っている例が複数あるとみられます。
この分野への投資判断の背景には、フィジカルAIにおける実世界データの構造的な不足もあります。Forbesは2026年6月の記事で、動作データの不足がフィジカルAI開発のボトルネックになっており、資金を投じるだけでは解決できない課題だと報じています。36krも、高品質な身体性AIデータの世界的な蓄積量は必要量の1%程度にとどまるとの分析を伝えています。
一方でXコミュニティでは、公表直後に始まったGalxe上の参加登録キャンペーンをめぐり、データ品質を実証できるかがプロジェクトの成否を左右するという指摘や、報酬目当ての参加者が集まりやすい「エアドロップ狩り」的な盛り上がりを懸念する声が見られます。便乗した偽トークンへの注意を呼びかける投稿もあり、公式プロジェクトとは無関係のなりすましリスクには注意が必要です。
参考リンク
https://x.com/4Dlabs_Official/status/2098350840650358917 https://www.yzilabs.com/blog/meet-the-easy-residency-season-2-cohort https://www.chaincatcher.com/en/article/2225898 https://www.rootdata.com/news/449088 https://4dlabs.space/ https://crypto-fundraising.info/projects/4dlabs/ https://t.me/crypto_fundraising/5376